20代の頃、僕にはコンプレックスが一つありました。それは、英語が話せないことです。友人でアメリカの大学に行った人たちが何人かいて、彼らの多くは外資系企業に就職し、外人とペラペラと話す姿が本当に眩しかったのをよく覚えています。

今回のエントリでは、独学で英語が話せるようになりたい人にお勧めの英会話の勉強方法を、僕自身の経験も踏まえて紹介したいと思います。

最初に断って置くと、英会話の完全な独学は不可能です。なぜなら、英「会話」とある通り、会話は相手が存在して初めて成立するものだからです。笑

留学しても英会話があまり上達しなかった僕の経験

29歳まで日本語しか使わない環境にいた僕

僕は29歳の時にMBAを取得するために海外留学をしましたが、それ以前は全く海外に行ったことがありませんでした。行ったことがあるとすれば、新婚旅行で行ったハワイくらいで、実際にハワイに行ってみるとかなりの場所で日本語が使えました。笑

MBAを目指す前の僕の英語力は、おそらくはほとんどの大学生と同じレベルだったと思います。大学はMARCHの一角に通ったため、頭にあるのは受験英語だけ。大学生の頃に受けたTOEICのスコアは610点という平々凡々なスコアでした。

MBA留学をしたものの、英会話が上達しない!?

その後、2年間の猛勉強を経てTOEFLとGMATという吐きそうな試験二つをクリアし、29歳の時にアメリカの大学院に留学することができました。

留学前の僕は当然ですが、英語があまり話せません。それはそうです。日系企業で働き、周りは日本人だらけ。仕事が終わった後はひたすら座学で試験勉強。英語を自分の口からアウトプットする機会がほとんどないのです。

しかし、留学すれば、きっと劇的に英会話が上達するのではないか・・。そんな期待を持っていましたが、その期待は無残にも打ち砕かれました。2年間の留学を経ても、英会話は自分が思ったようには上達しなかったのです。

なぜなら、MBAの生活というのは、莫大なリーディング課題との戦いでもあります。多くの時間をスピーキングではなく、リーディングに費やす必要があり、自宅に戻れば奥さんは日本人なので、日本語しか使いません。自分が思ったほど、英会話の機会は得られなかったのです。正直、自分自身に本当にがっかりしました。

僕の英会話は37歳で転職してから劇的に伸びた

MBA卒業後は、日系企業に就職することになったのですが、ここでは全く英語を使いませんでした。5年間この企業で働いたのですが、その期間を通して、僕は英語をすっかり忘れてしまいました。それはそうです。5年間、全く使わないのですから。

そして、37歳で今の職場に転職することになったのですが、外資系のこの企業は何と英語が公用語でした。メールも文書も会議も、全部英語なのです。本当に困りました。メールや文書を読むのはそこそこ大丈夫でした。困ったのはメールを書くことと英会話です。メールを書く方は時間をかければ良いのですが、会議や調整で必要になる英会話はその場での対応が求められるので、本当に困りました。

困った僕は、英会話の上達に特化した努力をすることにしました。

そしてそれから数年後の現在、業務を進める上で今は特に困ることはなくなるようになりました。自分が言いたいことは恐らく7割くらいは話せるのではないかと思います。

英会話の上達を考える上で理解しておきたい基礎知識

言語学習に必要とされる4つの能力

具体的な勉強方法の話の前に、英語に限らず、言語学習に必要とされる4つの能力について考えてみたいと思います。それは、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つの能力です。

このうち、リーディングとリスニングは「受け」中心のインプット系の英語力です。一方、ライティングとリスニングは「発信」するためのアウトプット系の英語力です。

日本の英語学習はリーディング偏重

僕も含め、日本の学校で英語を学んだ人の多くは、学校で教えられている勉強の比重がインプット系、特にリーディングに極端に偏っていることが分かるはずです。何年も前から総合的な英語力を伸ばすための試行錯誤は続いていますが、正直効果は薄いのではないかと思います。

TOEICの試験も多くの人が受験するReading & Listningはインプット系の英語力を測るものです。TOEICのスコアが高くても、その好スコアはインプット系の英語力を証明しているに過ぎないので、実際に仕事で必要とされるライティングやスピーキングなどのアウトプット系の英語力の証明にはなりません。

アウトプット系英語力の伸ばし方

アウトプット系英語力の伸ばし方のポイントはシンプル

アウトプット系英語力の伸ばし方のポイントはシンプルで、「アウトプットの機会をより増やす」これだけです。

MBA留学中に、僕と同じように全く海外留学をしたことがないのに、英語が非常に流暢な韓国人のジェイというクラスメイトがいました。彼に、留学経験もないのにどうして英語をそんなに流暢に話せるのか聞いたところ、彼は「じゃあ、秘密を教えてあげよう」と言って、僕の耳に一言だけ教えてくれました。

Speak!」

そう、これが英会話上達の秘訣だったのです。ライティングの質問をジェイには聞きませんでしたが、聞いたら恐らくは次のように答えたことでしょう。

Write!

スピーキングもライティングも、とにかくアウトプットすること。本当にこれしかありません。

効果的なアウトプットの方法

ただ、闇雲にアウトプットしても仕方ありません。アウトプットするには次の3つのステップが必要です。

  1. 正しい英語を学ぶ
  2. アウトプット(話す or 書く)
  3. フィードバックしてもらう

ステップ1:正しい英語表現を学ぶ

今の職場は外資系で公用語が英語です。しかし、最初から公用語が英語だったわけではなく、数年前に海外でずっと働いていた人が日本の事業責任者になった時に始まったと聞いています。そのため、英語が相変わらず上手くならない古い社員の人たちも一定数います。

そういう人たちに共通しているのが、そもそも英語の基礎勉強が足りないということです。しかし、アウトプット系で必要な英語力は中学レベルで十分です。日本語について考えてみればわかりますが、我々が話す日本語も、日常会話では対して難解な文法を使っていません。英語も同様です。ですから、このレベルの英語の基礎をまず学びましょう。

ステップ2:とにかくアウトプット(話す or 書く)

学んだら、絶対に学んだことを自分でアウトプットします。アウトプットすればするほど、脳内のアウトプット回路が整備されて、より素早く必要な表現を引き出すことができます

僕は管理職で今の職場に入社したので、入社早々本部や上司のアメリカ人にプレゼンする機会が数多くありました。最初はどうしたかというと、自分が言いたいことをまず日本語で書いて、それを英訳。そしてその英訳を丸暗記しました。

これを半年くらい続けたところ、自分が話したいことを話す英語表現をほぼ全てマスターすることができました。

また、書くことと話すことの関係ですが、基本的に英語を書けるということは、脳内から必要な表現を引き出せるということなので、書けることは話せるということになります。ライティングの能力が上がると、スピーキングの能力も上がります。

ステップ3:フィードバックしてもらう

フィードバックを頼める人がいる場合は、定期的に英語のフィードバックを求めることは英語の上達で必ず必要なプロセスです。

僕の場合は、運がいいことに職場にネイティブのアメリカ人が数人いるので、ちょっと時間がある時に色々な質問を彼らに尋ねています。

また、ライティングは一度自分が書いた文章をネイティブに一緒に添削してもらい、赤ペンが入った部分がなぜダメなのか理由を聞くと、同じ間違いをしにくくなります。

アウトプット系の勉強に役立つ僕が使っているツール・書籍

僕が使っているツールや教材をいくつか紹介します。

Google Translation

あれって、英語で何て言えばいいのかな?こんな質問が浮かんだら、最近はGoogle Translation にサクッと入れて確認しています。Google にGoogle Translationと検索すると以下のようなボックスが出てくるので、ここに日本語を打ち込むだけです。すごい便利です。

Ginger

Gingerは英語の文法や表現をチェックする無料ツールです。レポートを書く時など、一度通して確認しています。

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング

日本語の文章から英語を考える教本です。英語を隠して、日本語を見て英訳を考えます。実際に使ってみると、いかに自分のアウトプット力が弱いのかよく分かります。アウトプット脳を鍛えるのに役立ちます。

英会話ペラペラビジネス100

日本語の環境でも、ビジネスではきちんとした丁寧語を使うことが必要ですが、英語も同様です。本書は、ビジネスシーンでよく出てくる100の表現を教えてくれます。会話ごと丸暗記して、実践しましょう。

七田式英会話教材 7+English

天才右脳教育で有名な七田式教育の教材です。この教材は、Book EXPOに行ったときに七田式教育のブースで売っていたものを購入しました。

英会話に必要な瞬発的な反応力を鍛える教材です。鍵は付属のCDにあり、日本語、英語を繰り返してくれます。さらに、同じパターンで、普通の速度、倍速と入れ替わるため、聞きづつけるとある瞬間に英語だけ聞いてもその意味が瞬間的に頭で理解できるようになります。

アウトプットを増やすには、英語を話し書かざるを得ない環境を作ることが近道

アウトプットの機会を増やすと言っても、スピーキングもライティングもどちらも相手がいることなので簡単ではありません。やはり、定期的に英語を話さなければならない状況を自分で意図的に作る必要があるでしょう。

外国人がいる職場に転職する

前述の通り、僕は留学よりもこちらで伸びました。転職のいいところは、平日の業務時間全てが英語学習の機会に変わることです。転職にあたっては、外資系企業とのコネクションが豊富な大手の転職エージェントがおすすめです。

中でもJAC Recruitmentは外資系に特化したチームがいて、手厚いサポートを提供してくれます。僕もMBAを卒業するときの就職活動でお世話になりました。

英会話教室かオンライン英会話を利用する

お金をかけられるなら、有料の英会話教室かオンライン英会話があります。

特にオンライン英会話はインターネットとパソコンまたはスマホがあれば場所を問わずに受講できるのでとても便利です。この業界でNo.1なのがレアジョブ英会話です。

地域の無料英会話教室を利用する

お金をかけたくないなら、地域の無料英会話教室を利用する手もあります。

全国展開をしているのがGo-Eigoミッションスクールです。なぜ無料かというと、ミッションスクールとある通り、教会でボランティアのアメリカ人宣教師が英語を教えてくれるからです。僕は大学生の頃に友人と一緒に参加していました。

アメリカ人宣教師は18-20歳くらいで、大学を休学して自費で来ています。プロの教師ではないので、教える技術はアマチュアですが、外人と英語を話す機会と考えるとお得ではないかと思います。何せ無料なので。笑

あと、宗教の勧誘とかは無理強いとかはされないので特に心配しなくても大丈夫です。

まとめ

今回はなるべく独学で英会話を習得できる方法をまとめました。英会話ができるようになると、本当に世界が広がります。ぜひ諦めずに頑張ってください。僕も40歳を超えたおっさんですが、新しい表現を継続して学び続ける努力をしています。