僕はサラリーマンですが、雇われる側の人間として、一つの真実を肝に命じています。

それは、「組織は組織の幸せしか考えない」ということです。

父の背中を見て学んだサラリーマンの悲哀

僕が「組織は組織の幸せしか考えない」という真実を学んだのは、父からです。

父は大手生保の営業職でモーレツ社員だった

東京出身の父は、若い頃に地方の三流大学の夜間部に通った。大学を卒業した父は、大手の保険会社の営業職として採用されました。

当時は高度経済成長の時代。モーレツに働く企業戦士がもてはやされていた時期だ。父も多分に漏れず、早朝から終電まで、月曜日から土曜日まで働き続けた。日曜日は自宅にいても、疲れて眠っている父の記憶しかない。忙しい時期は、日曜日も午後から仕事に出かけて行きました。

体力に自信があった父は、熱心に働き続けた結果、順調に実績を上げ、順調に出世の階段を登っていった。そう営業課長になるまでは。

僕が中高生になった頃、父が時折こぼしていた愚痴は次のようなものでした。
「また、年下の総合職上がりの上司が来たよ。現場のことも何も知らないくせに」
父が働いていた大手保険会社は、高学歴の新卒を総合職として採用していた。彼らは、将来の会社を担う幹部候補として入社したエリートたち。一方、学歴もない叩き上げの父のような営業マンたちにとって、営業課長はその会社でのキャリアの終着地点でした。

健康を害し、早期退職を決意

父が仕事をやめると言い出したのは、僕が大学に進学した頃。
「不整脈が出たんだ。もう体力の限界だ。これ以上この会社で働くと、俺も早死にすると思う」

父の話によると、同じ職位で働いていた同僚や先輩たちが、ここ数年で心筋梗塞やらなんやらで続けて亡くなっているのだという。そんな折に、自分の体に発生した異変は、父が決意を固めるのに十分な出来事だった。命を担保にされては、家族は何も言うことがない。こうして、父は二十二年間働いた保険会社を退職しました。

その後は散々な目に・・

その後は散々な目にあった。保険会社を退職した父は、退社時に手に入れた退職金で、様々なビジネスや投資に手を出したが、ことごとく失敗。なんと退職して1年と少しで、その全てを溶かしてしまったのです。

考えてみれば当たり前なのだが、父は大手生保という巨大組織で「販売」という機能しか担当していなかった。しかし、新規ビジネスや投資では、全く違うビジネスキルが求められる。そのことに、父は気づけなかったのです。

馬車馬のように朝から晩まで組織の為に働かされ、ふと気づけば何のスキルもないまま社会に放り出されている。父の同僚たちの中には、前述のように激務がたたって、命を落とした人もいます。

組織に自分を幸せにして欲しければ、二つの方法しかない

もし組織に自分を幸せにして欲しい、と思うのであれば、僕が知る限り2つの方法しかありません。

方法その1:組織に必要な人材になって、組織に貢献し続ける

まずは王道です。組織に自分を幸せにして欲しいと思うなら、自分が組織を幸せにするしかない。組織を幸せにするとは、組織に必要な人材になって、組織の目的達成に貢献し続けること。

その為には、組織のニーズに対して常に敏感である必要があります。そして、変わっていく組織の人材ニーズに対し、可能な限り自分がその必要を満たせるよう努力をし続けるのです。広い意味での組織内マーケティングが必要になります。

世間一般的なキャリアアップの為の努力、というのはこちらの部類に属するものです。資格取得、英語力の向上、MBAの取得などです。

方法その2:組織や仕組みのオーナーになる

もう一つの方法が、組織や仕組みのオーナーになるという方法です。日本は資本主義社会です。資本主義社会の本質は、資本を持っている人間が幸せ(お金)を受け取れるということです。

オーナーになれば、組織は自分の為に働いてくれるのです。

例えば、株を持っていれば、配当金という形で企業は株の保有者に報いてくれます。不動産物件を持っていれば、家賃収入という形でお金を受け取ることができます。どんなスモールビジネスでも、ビジネスのオーナーであれば、そのビジネスは自分のために働いてくれます。

まとめ

この記事を書いている少し前に日産のゴーン社長が逮捕され世間を騒がせましたが、ゴーン社長の勘違いもここに起因するのではないかと思います。つまり、ゴーン社長自身はあくまで組織に雇われている立場に過ぎなかったのに、自分が日産やルノーという組織のオーナーかのように振舞ってしまった、ということです。

ゴーン社長の存在が、日産という組織を幸せにしている(メリットがデメリットに優っていた)時期は良かったのでしょうが、彼の存在が組織の幸せに叶わなくなった(デメリットがメリットに優った)瞬間、と組織の幸せのため、排除されることとなりました。

僕がスモールビジネスや投資に挑戦し続ける理由はそこにあります。定年退職をしたら、組織からは自動的に離れることとなります。その時を見越して、今から準備しておきたいと思うのです。

組織や仕組みのオーナーになるとは、つまるところ、ストックビジネスを持つということです。以下は、ストックビジネスの本質を解説した超良書です。