自宅が職場に同化している個人事業主ですが、自宅兼事務所の光熱費ははいくらまで経費できるのか悩ましい問題です。
この記事の目次
必要経費に算入できる金額と自宅兼事務所の経費の対象
必要経費に算入できる金額ですが、国税のサイトには以下のように書かれています。
必要経費に算入できる金額
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
(1)については、つまり仕入れなどの原価のことで、(2)は販売費、一般管理費です。自宅兼事務所の経費は仕入原価などとは異なるため、(2)の一部ということになります。
自宅兼事務所の経費の対象
では、具体的に自宅兼事務所の経費の対象ですが、どのようなものがあるのでしょうか? 自宅兼事務所の経費の対象には、以下のものが該当します。
- 家賃(賃貸の場合)
- 固定資産税
- 建物の減価償却費
- 通信費
- 水道光熱費
必要経費の算入時期は請求確定ベース
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額です。つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
例えば、12月末に請求書が届き、1月に支払った場合は、請求書が届いた年の経費となります。
例外は減価償却で、減価償却は既に支払いは済ませてありますが、会計上は数年に経費を分けて計上するため、上記の決まりには当てはまりません。個人事業主の場合は、高額なパソコンやカメラなどが該当します。
必要経費に算入する場合の割合の考え方
国税庁のガイドライン
自宅兼事務所の経費の算入については、国税局のサイトに細かく指示が書かれています。大切だと思うところをハイライトしています。
個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)交際費、接待費、地代、家賃、水道光熱費
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる、というのがミソなのですが、「明らかに区分できる」という表現が実に主観的でよく分かりませんが、仮に税務署の人が自宅に調査に来たとして、合理的に説明して納得してもらうような根拠を考えておく必要があります。
最も簡単なのは自宅のスペースを割合で考える方法
おそらく、最も簡単なのは、自宅のスペースを元に、割合で考える方法です。
例えば、我が家の場合はリビングの一角にあるパソコンコーナーが個人事業主としてての仕事場になります。リビングは自宅全体の25%程度になるため、その場合は自宅にかかる経費のうち25%を計上できるかもしれません。
住宅ローン減税対象者は、事業割合を10%以下にする必要がある
上記の自宅と事業の割合ですが、1点だけ注意する必要があります。住宅ローン減税を受けている人は、住宅ローン減税の条件として、
床面積が50平方メートル以上であり、その2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものである
つまり、事業割合を50%以上で設定してしまうと、住宅ローン控除を受けられなくなります。
さらに「専ら自己の居住の用に供するものである」必要があるため、事業で使用する部分には住宅ローン控除を適用できません。2800万円の自宅を購入し、50%を事業用とすると、1400万円の部分のみ、住宅ローン控除の対象となる、ということです。
ただ一方で、所得税法では事業割合を10%以下とすると、住宅ローン控除を全額受けることができることにもなっていて、この10%というのが最終的な落とし所、ということになります。