二十代の頃、何度かトライしてやっぱり自分には向いていないと確信したビジネスがあります。それは、ネットワークビジネスです。

断っておくと、僕自身はネットワークビジネスにそれほど偏見はありません。知り合いにネットワークビジネスの会社で働いている人もいますし、ディストリビューターとして成功している人もいます。ビジネスモデルとして、非常に優れた側面があることも分かっています。

しかしそれでも自分にはあまり向いていないというのが現在の結論です。今回の記事では、ネットワークビジネスがなぜ自分には向いていないと思ったのか、その理由をまとめてみました。

ネットワークビジネスとは? その仕組みを簡単に解説

ネットワークビジネスとは、その名の通り、「ネットワーク」を作ることによって拡販する営業手法を採用しているビジネスのことです。

直接販売の場合

通常の会社は、何か物を販売する際に営業マンを採用します。この営業マンが直接お客さんを見つけて販売します。保険会社とか、分かりやすいと思います。

店舗販売も、直接販売を少し変形したパターンです。営業マンと違うのは、自分からお客さんのところに探しに行くのか、お客さんが来るのを待つのかの違いです。ECはこの店舗型をオンラインに変えただけです。

代理店方式の場合

直接販売しない場合は、代理店方式があります。

代理店方式のメリットは、レバレッジ、つまり梃子の原理が効くことです。直接販売のメリットは、利幅が大きいことですが、デメリットは固定費もまた大きいことです。一人の営業マンが相手にできる顧客数には限界があるため、売り上げを増やすためには営業マンを増やしていく必要があります。しかし、代理店方式ならば、代理店に手数料を払って、代理店に営業をしてもらえれば、一つの代理店から複数のお客さんを獲得することができます。利幅は少なくなりますが、数が増えるので、ある時点で、直接販売よりも売上も利益も大きくなります。

マイクロソフトは世界有数の巨大企業ですが、マイクロソフトの法人ビジネスはこの代理店方式を採用しています。マイクロソフトの法人営業は、決して自分からサービスや商品をお客さんに売り込んだリしません。マイクロソフトと契約をした代理店が、お客さんのところに行くのです。フランチャイズとかも、基本的には同じです。

ネットワークビジネスの場合

では、今回のネットワークビジネスどうなっているのかというと、基本は代理店方式と同じなのですが、通常の代理店方式と違うのが、代理店がさらに別の代理店を増やすことができる、という点です。つまりレバレッジの先にさらにレバレッジを効かせ、自分の「ネットワーク」を作ることができるのです。そして、この自分をスタートとした自分のネットワークが大きくなればなるほど、自分が受け取れる手数料も大きくなります。

なお、このビジネスモデルは金持ち父さんで有名なロバート・キヨサキ氏が絶賛しているビジネスモデルです。莫大な資金をかけて起業するくらいなら、ネットワークビジネスに取り組んだ方がよほどリスクを下げることができる、という話です。

ネットワークビジネスの代表的な会社

では、具体的にどんな企業がネットワークビジネスのビジネスモデルを採用しているのでしょうか?

日本国内の売上ランキングトップ10

以下は、業界紙「月間ネットワークビジネス」で公表されている日本国内の売上ランキングトップ10です。トップ企業は日本アムウェイとなっており、売上1000億くらいです。大きな数字のように見えますが、トップ企業でさえ売上が1000億円しかないということは、業界全体の市場規模は数千億で、業界としてかなりニッチで小さいことが分かります。例えば、日本国内の外食産業の市場規模は25兆円です。

順位 会社名 売上高(百万円) 商材
1 日本アムウェイ 100,471 健康食品・日常消費財・化粧品
2 三基商事 60,000 健康食品(ミキプルーン)
3 フォーデイズ 42,949 健康食品(核酸)
4 ニュースキンジャパン 31,000 健康食品・日常消費財
5 ノエビア 28,064 化粧品
6 アシュラン 23,000 化粧品
7 フォーエバーリビング 20,580 健康食品(アロエ)
8 ベルセレージュ 19,000 健康食品・日常消費財
9 シャルレ 18,068 下着・健康食品・化粧品
10 モリンダ 17,000 健康食品(ノニ)

ネットワークビジネスの会社が取り扱う商品の共通点

共通点1:リピート商品

ネットワークビジネスの会社が取り扱う商品には共通点。第一は「リピート商品」だということです。上記の企業のどれを見ても、健康食品・日常消費財・化粧品のいずれかです。シャルレの下着はちょっと毛色が違いますが、リピート商品であることは間違いありません。

なぜリピート商品である必要があるかというと、売上を毎月必ず上げ、ディストリビューターたちに還元し続ける必要があるからです。健康食品・日常消費財・化粧品のいずれも、定期的に商品し続ける物です。

昔爆発的に売れて、その後下火になったネットワークビジネスの会社にタッパーウェアという会社がありましたが、これは食器のタッパーを販売していました。ピーク時には人気が爆発してものすごい売上が上がりましたが、一度普及してしまえば、継続して購入し続ける人はいません。

共通点2:商品が概ね高額

二つ目の共通点は販売している商品の金額が高いことです。どの商品も毎月数千円から数万円のお金を払う必要があります。

なぜ商品が高額になるのかというと、ディストリビューターたちへ支払う手数料を上乗せする必要があるからです。

これは還元率とも呼ばれていますが、ネットワークビジネスの場合は30%〜50%くらいが売上に占める還元率です。

なぜ自分にはネットワークスのディストリビューターが向いていないと思うのか

ようやく本題ですが、僕は二十代の頃、いくつかのネットワークスに誘われて挑戦したことがありますが、ことごとく挫折しました。アムウェイをはじめとして、3、4つは登録した覚えがあります。しかし、全て失敗したのです。振り返ってみて、以下がその理由です。

理由その1:販売している商品を信じきることができない

とにかく、この理由が根本的なところでは全てではないかと思います。僕は自分の生い立ちもあって、高いものにお金を出すのが苦手です。それにも関わらず、ネットワークビジネスの全ての商品は、非常に高額です。

確かにサプリや健康食品が体に良いのも分かりますが、毎月数千円から数万円というお金を払って市場にあまり流通していない健康食品を摂るのと、スーパーに行って例えば1パック百円以下の納豆を買って毎日食べることを比べると、ふと冷めてしまうのです。

そして、どの商品も、もっと安くて良い代替品があると思うと、結局本当の商品は「ネットワークビジネス」というビジネスモデルだとある時気づいてしまいました。

理由その2:人間関係を人質に取る商法に心がついていかない

次に、ネットワークビジネスは、人間関係をリスクに晒す商法だということです。ネットワークを広げるためには、家族から始まり、友人や知人にも声をかける必要が出てきます。

自分が本当に信じ切れるものがあれば、どんな人にも100%の自信を持って勧めることができるのでしょうが、理由1のようにどこか冷めていると、そのモチベーションも上がりません。結局、どのネットワークビジネスも途中で解約することとなりました。

サラリーマンとして働く場合のキャリアアップの方法と注意点

ディストリビューターとしてではなく、サラリーマンとしてネットワークビジネス業界に就職しようと考えている人もいるでしょう。その場合は、以下の点について留意しておきましょう。

キャリアアップの基本は業界内

ネットワークビジネスの会社では、キャリアアップの基本は業界内です。ネットワークビジネスは、業界としての市民権があまり確立されていないため、一度入ってしまうと違う業界に転職することが容易ではありません。特に営業系ではその傾向が顕著です。

そのため、ネットワークビジネスの会社で働く社員は会社をホップしながら、ポジションと年収を上げていく傾向があります。

ポジションが上がると少ない椅子取りゲームが始まる

ポジションが上がりすぎると、危険な椅子取りゲームが始まります。ネットワークビジネス業界は、市場規模がそれほど大きくなく、企業数も少ないため、全体としてのポジションの数に限りがあります。その少ない椅子を取り合うことになるのです。

スタートアップの社長のポジションは要注意

僕が見てきたケースで特にやばいと思うのが、ネットワークビジネスのスタートアップの社長のポジションです。毎年何社か、アメリカの新しいネットワークビジネスの会社が日本進出を図ろうとします。そして、その際に他社のネットワークビジネスの営業ディレクターやマネージャーが引き抜かれ、社長になるケースが多々あります。

ところが、スタートアップの会社が軌道に乗るのは非常に難しいのが現状です。確かに日本市場は大きいのですが、前述の通りネットワークビジネスの市場は間違いなく縮小傾向にあります。これは、個人事業主としてネットワークビジネスに取り組む人の高齢化が進む一方、若い人たちの新規開拓が進まないからです。

結果として、日本進出後、数年で撤退するということを繰り返すことになります。社長として会社の業績が上がらなければ経営責任を取らされ、首になってしまいますが、下手にポジションが上がってしまうと業界内での転職も容易ではなく、身の振り方に困るというパターンに陥ります。

まとめ

ネットワークビジネスのビジネスモデルや、僕が感じた難しさ、サラリーマンとして働く場合の注意点をまとめてみましたが、もちろんこの業界でディストリビューターや社員として活躍している人もたくさんいます。あまり先入観を抱かずに挑戦してみるのも良いと思います。