先日、本屋で「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を購入した。株の本というのは、本当にこういう胡散臭いタイトルが多いと思う。購入してしまう僕も僕だが、この本を電車で読むのはちょっと恥ずかしい。

今回の記事は「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」で推奨されている銘柄の探し方と、僕の実践メモです。

本書の投資スタンス

本書の投資スタンスですが、高配当の成長企業を探し出して長期投資しよう、というものです。この前提にあるのは、株価は予測不能だが、配当金ならある程度予測ができる、という点にあります。

高配当の成長企業を探すための条件として、本書では以下の二つを挙げています。

条件1:営業費用売上比率が1.15倍以上

営業費用売上比率と聞いてもピンとこないかもしれませんが、要するに営業利益率が15%以上ということです。

営業利益は本業のビジネスがどれだけ上手くいっているのかを示す数字で、営業利益率が高ければ高いほど、ビジネスモデルが強いと判断することができます。

条件2:提供するサービスが永続的か。または今後数年間が増収増益を期待できる

この条件は、未来を見たときの社会ニーズを捉えることができるか、という点です。正直、この見極めは容易ではあないと思います。新聞などを読んでいれば、成長市場か衰退市場かは分かりますが、衰退市場の中にも成長できる分野はあるわけで、市場を多角的に見る視点が必要になります。

勝てる株が見つかるシンプル計算

この本の中では、勝てる株を見つけるための計算方法が紹介されています。

成長株を見つける5ステップ

まずは成長株を見つけるための計算方法です。

  1. 営業費用売上比率が1.15倍か?
  2. 配当性向5割か?
  3. 配当性向5割以下なら、4年連続増収増益か?
  4. 数値目標や中期計画があるか?
  5. 商品の永続生はあるか? 数量見通しはどうなっているのか?

株価が割安かどうかを判断するための6手順

成長株を見つけても、現在の株価が割高では購入する意味がありません。そのため、この6手順を使って割安かどうかを判断することができます。

  1. NOPAT(営業利益6割=法人税4割を抜く)を計算する
  2. NOPATの4割(配当性向4割を見込む)を計算する
  3. 擬似的なROEを計算する(株主資本の効率を確認する)
  4. ROEによる場合分けをする(ROEの数値によって今後5-7年の配当総額を予測する)
  5. 将来の配当利回りを計算する(4の配当総額と現在の時価総額から計算)
  6. 上値目処(目標株価)を計算する

実際に本書の方法を使って銘柄検索をしてみた

営業費用売上比率が高い企業を簡単に見つける方法

本書では、営業費用売上比率が高い企業が全ての出発点になっています。営業費用売上比率が高い企業を探す方法は簡単で、ランキングサイトを利用することです。

今回はStockclipのランキングを参照しました。上位の企業の営業利益率の高さは驚くばかりです。それなのに、配当の状況を調べて見ると、どの企業も驚くほど配当率が低い。呆れてしまいます。

営業費用売上比率が高く、配当性向5割の企業はほとんどない

配当性向もランキングサイトを使います。こちらはみんかぶのランキングを参照しました。

上記二つのランキングをエクセルに貼り付けて、関数で付き合わせてみましたが、結果は以下の通り。8社しか該当しませんでした。

企業名 営業利益率 配当性向
マーベラス 20.35% 59.62%
SHOEI 21.77% 59.72%
バリューHR 16.10% 63.69%
コロプラ 15.19% 68.49%
ファナック 31.60% 73.94%
大研医器 17.53% 73.99%
任天堂 16.82% 74.60%
オークネット 16.51% 86.96%

営業費用売上比率が高く、増収増益の企業の方が選択肢が多い

8社しかないのであれば銘柄選びの候補としては心許ないので、営業費用売上比率が高く、増収増益の企業も探してみました。

この本の分析の後半では、必ず配当性向を確認することになっているので、打率を上げるために、営業費用売上比率が高い企業300社の配当率を全て調べ、配当率が3.5%以上のものに絞り込みました。

さらに、絞り込んだリストの過去3年間の業績をチェックし、増収増益を続けている企業の一覧を出しました。

株価は僕の購入資金が少ないので参考値として入れています。それがこのリストです。もう少し選択肢が増えました。

企業名 営業利益率 株価 配当率
スパークス・グループ 49.66% 240 4.17%
モーニングスター 27.45% 306 4.58%
日本エスコン 21.28% 772 4.53%
FPG 59.26% 960 5.52%
トーセイ 17.67% 999 3.70%
レーサム 25.54% 1,117 4.03%
イハラサイエンス 19.70% 1,200 3.75%
太陽工機 17.17% 1,426 3.51%
サムティ 16.65% 1,488 5.04%
日本エス・エイチ・エル 42.93% 1,745 3.90%
ユニゾホールディングス 33.49% 2,062 3.88%
NTTドコモ 20.41% 2,380 4.62%
KDDI 19.10% 2,406 4.16%
東京精密 19.60% 3,105 3.80%
沖縄セルラー電話 19.10% 3,540 3.50%
日本カーボン 34.16% 5,320 3.76%
東京エレクトロン 24.87% 17,685 4.09%

候補の企業リストができたら、分析用エクセルシートで1社ずつ分析

候補の企業リストができたら、分析用エクセルシートで1社ずつ分析します。分析シートはエクセルで作りました。計算式などが正しいことを確かめるために、実際に本の中で事例として採用されている日進工具の数字をはめて、著者の計算と合っているかを確認しました。

本書で紹介されている分析方法を丁寧に見ていくと、実は最低限の数字だけ四季報や決算短信から拾えば、中期計画の有無や20年後の存在可否以外は、エクセルが勝手に計算してくれることが分かります。

とりあえずは、このテンプレートを使って、この手法で企業研究を進めていきたいと思います。

まとめ

以上、「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」で推奨されている購入銘柄の探し方を解説してみました。この手法のポイントは、中長期的な投資スパンを考えていることで、5−7年はある銘柄を保有することが前提になっています。僕に数ヶ月単位で株を売買してきた僕にとってはちょっと時間軸が長すぎるのですが、ある程度まとまった資金がある方は、銘柄選びの一つの手法として実践して見る価値があるかもしれません。