この手の本は販売部数を伸ばすためだと思いますが、とにかく本のタイトルが怪しいものが多いです。この本も「サラリーマンしながら株で億を稼ぐ」などとタイトルに書かれていて、胡散臭さ満点です。

しかし、株式投資についての本は本書を含め数十冊読んできましたが、この本は特定の手法に偏りがちだった僕の視野を見事に広げてくれた良書となりました。

本書の構成

本書の構成は以下のような内容です。序章から7章まであり、それぞれ7つの法則として株式投資の極意がまとめられています。

序章 プロのトレーディング戦略を盗んで儲けろ

  1. ヘッジファンドの4大トレーディング戦略から学ぶ
  2. バリュー株投資とグロース株投資
  3. リターン・リバーサルとブレイクアウト
  4. バーゲンハンティング戦略
  5. ロング・ショート
  6. マーケットニュートラル戦略で市場の影響を排除する
  7. イベント・ドリブン戦略
  8. デリバティブ商品の活用

第1章 株で成功するために ー 法則1 成功への強い意志が勝利への道

  1. 3つのシナリオと3つのゴールを作る
  2. 正確な情報源にあたれ
  3. 株式投資に必要な指標を覚える
  4. 早朝の情報収集が全てを握る
  5. 相場概況は自分の手でまとめよ
  6. 週末は勉強に時間を振り向けろ

第2章 相場を読む ー 法則2 市場を知れば儲けは向こうからやってくる

  1. 株式相場はマクロ経済のバロメーター
  2. 企業業績と株価の関係を知る
  3. テクニカル分析の急所を知る
  4. 企業の業績を簡単に掴む
  5. 株式投資の流行を押さえよう
  6. 金利と株、この怪しい関係
  7. 海外市場の動向を掴む

第3章 銘柄選び ー 法則3 生活・仕事に身近な銘柄が利益を呼ぶ

  1. 投資資金はいくらいる
  2. アナタの「相場脳」はどうなっているのか?
  3. 誰でもできる簡単なスクリーニング法
  4. 会社四季報の上手な活用方法
  5. 情報開示の姿勢を知る
  6. 「ウソつき」銘柄に騙されるな
  7. 企業の評判を雑誌と専門誌からつかむ
  8. 作られたIPO銘柄を見抜け

第4章 売買のタイミングをつかむ ー 法則4 負け売買に学べば利益拡大

  1. 行動ファイナンス理論で非日常の相場に立ち向かう
  2. 「買値=最初の記憶=心のカリスマ」を取り除け
  3. 予定にない買い増しの有害さを士郎
  4. 無理なナンピン買いは致命的な失敗に繋がる
  5. 利食いはゆっくり、損切りは素早く
  6. 大暴落は究極の買いのチャンス
  7. リターン・リバーサル効果のワナにはまるな
  8. 売りは感情を込めずにやれ

第5章 損を減らして儲けを増やす ー 法則5 己を知れば損失は減少していく

  1. 揺れる感情を操縦する
  2. 次はそろそろと思う気持ちを捨てよ
  3. 致命的なミスに繋がる最悪、最凶の感情 ー 高すぎるプライド
  4. アナリスト情報より自分の判断を優先させよ
  5. 買わぬも相場確率を過大に推計するクセを直そう

第6章 資金を1000万円に増やす ー 法則6 損切りは相場に払う必要経費

  1. 同一、あるいは類似のセクターで対象面柄を選ぶ
  2. まずは1銘柄、そして3銘柄に増やす
  3. 銘柄に共通のシナリオを作成する
  4. 利食い、損切りのルールは各銘柄に共通
  5. 成功体験は忘れて、失敗体験から学び取れ

第7章 ポートフォリオ運用で億を稼ぐ ー 法則7 足し引きプラスが億の極意

  1. ポートフォリオ運用の長所と短所
  2. リスクの量より質に注目してセクターを選べ
  3. ポートフォリオ戦略はどう組み立てるか
  4. ポートフォリオ運用は他人に任せる
  5. ポートフォリオ運用のための投資心理を学ぶ
  6. 1000万円から5000万円、さらに1億円を目指す
  7. 相場のマルチンゲール性を知ろう

この本は特定の手法を読者に勧めるものではない

株式投資の本の多くは、ある特定の手法を詳しく説明し、読者に勧めるものが多いです。

しかし、それぞれの本が勧める手法が株式投資という全体像の中でどこに位置するものなのか、毎回確証が持てません。

ところがこの本では、どの章でもそうですが、様々な手法を網羅的に解説し、それぞれのメリット・デメリットを簡潔に教えてくれます。

特に投資家に必要なメンタルコントロールは一読に値する

中でも僕が特に役立ったと思うのは、投資家に必要なメンタルコントロールについて説明している章です。特に4章と5章に詳しく解説されていて、とても参考になりました。

個人的に読んでいて耳が痛かったのは価値関数についての章で、自分の投資心理に見事に当てはまったので、大いに反省させられました。

まとめ

2006年に書かれた本ですが、正直、全く古さを感じません。それは、本書が普遍性の高い内容を幅広く網羅しているからだと思います。ご興味があれば、是非ご一読ください。