住宅ローンですが、多くの人が30-35年ローンを組んで購入していると思います。
僕自身も、35歳の時に35年ローンで住宅ローンを組んでいるため、今のままだと70歳まで住宅ローンを返済し続ける必要があるため、繰上げ返済をどのように進めていくのかは、実は死活問題です。
この繰上げ返済ですが、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の二つの種類があります。一体どちらが特なのか、ちょっと調べてみました。
この記事の目次
繰上げ返済の二つの種類、「期間短縮型」と「返済額軽減型」
期間短縮型
期間短縮型とは、その名の通り、繰上げ返済によって、期間を短くすることです。
この場合は、期間が短くなるだけで、毎月の支払いに変更はありません。
返済額軽減型
一方、返済額軽減型は、期間に変更はありませんが、毎月の返済額が減少します。
このメリットは毎月の家系のキャッシュフローが改善することです。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の比較
以下の前提で、期間短縮型と返済額軽減型、どちらが特なのか調べてみました。
- 住宅ローンの総額:2年前に3000万円
- 住宅ローンの期間:35年
- 金利:1.5%
- 繰上げ返済の金額:200万円
期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|
返済期間 | 2年10ヶ月短縮 | 変わらず |
負担減の実感 | 30年後 | 翌月から |
利息減 | 117万円 | 53万円 |
見て分かる通り、期間短縮型の方が、圧倒的に利息が減っています。倍くらいの差があります。
ここが利息の恐ろしいところですが、1.5%という低金利であっても、期間が長くなるとその分多くの利息を支払うことになります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」どちらを選ぶかはライフステージによって変わってくる
返済期間別の支払い利息と毎月の返済額
3000万円の住宅ローンを組むときに、金利が上記と同じ1.5%だと仮定すると、返済期間は自分で決めることができます。
その返済期間を35年、30年、25年、20年の4パターンで計算してみました。すると、以下のようになります。
返済期間 | 住宅ローン | 支払い利息の総額 | 返済総額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|---|
35年 | 30,000,000円 | 8,579,239円 | 38,579,239円 | 91,855円 |
30年 | 30,000,000円 | 7,272,983円 | 37,272,983円 | 103,536円 |
25年 | 30,000,000円 | 5,994,269円 | 35,994,269円 | 119,981円 |
20年 | 30,000,000円 | 4,743,269円 | 34,743,269円 | 144,764円 |
期間を5年減らすごとに、支払い利息の総額が120万円〜130万円の幅で減ることがわかります。
しかし、毎月の返済額が期間が短くなればなるほど上がっていきます。支払利息がいくら低くても、毎月の生活に必要なキャッシュフローが足りなければ元も子もありません。
また、30代、40代で我が家のように子供がいる場合は、子供の学費のために現金を貯めておく必要もあります。
その場合は返済額軽減型を選んで、毎月のキャッシュフローに余裕を持たせる方が得策になります。
住宅ローン減税が適応できる間は繰上げ返済は避けた方が良い場合も
また、もう一つのポイントは、住宅ローン減税です。
住宅ローン減税は、住宅ローン使って住宅を購入する際に、毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除される仕組みです。
この住宅ローン減税が適応される期間中に繰上げ返済をしてしまうと、減税効果が薄まってしまいます。
ですから、住宅ローン減税が適応できる間は、住宅ローン減税によってその恩恵を受けておき、その適応が外れる11年目から繰上げ返済を、キャッシュの必要に合わせて「期間短縮型」か「返済額軽減型」のいずれかを選ぶと良いでしょう。
繰上げ返済せずに、投資で増やすという手段もある
繰上げ返済の原資として100万円を持っていたとして、この100万円を期間短縮型で返済するとざっくり50万円くらいの将来利子の支払いを圧縮することができます。
しかし、この原資を返済に当てずに投資に回すとしたらどうでしょうか。実際にシミュレーションしてみました。
以下は、100万円を複利で運用できる投資信託等、20年間に投資した場合に、平均利回りが1%-6%の間でどのように変わるのかをシミューレーションしてみたものです。
平均利回り | 投資金額 | 20年後の総額 | 運用益 |
---|---|---|---|
1% | 1,000,000円 | 1,220,000円 | 220,000円 |
2% | 1,000,000円 | 1,480,000円 | 480,000円 |
3% | 1,000,000円 | 1,800,000円 | 800,000円 |
4% | 1,000,000円 | 2,190,000円 | 1,190,000円 |
5% | 1,000,000円 | 2,650,000円 | 1,650,000円 |
6% | 1,000,000円 | 3,200,000円 | 2,200,000円 |
驚くべきことに、20年の平均リターンが2%を越えることができれば、繰上げ返済せずに投資に回した方が良いということになります。
投資信託の平均利回りは、インデックスファンドで年3~7%程度となっているので、利回り2%以上はかなり現実的です。
注意したいのは、複利での計算になるため、株式投資でいう所の配当金に相当する分配金を受け取らずに、ずっと再投資し続けるということです。
しかし、この投資のシミュレーションはあくまで仮定の話で、今後金融市場がどうなるのか誰にもわかりません。一方、繰上げ返済の場合は、100万円で確実に50万円近い支払いが削減できるます。
確実な繰上げ返済か、投資に回すべきか、なかなか悩ましい所です。